有限会社パンズ

黒ヒョウ社長のブログ

MESSEと廃材問題

2001-11-06 16:57

前回のコラムで少し「環境問題」について触れましたが、今回自分の仕事に照らし合わせて考えてみたいと思います。私は展示会の仕事をするとき撤去に行くのが嫌いです。日本では大工さんが急いで「壊し」にかかります。木工をめった切り。もちろん使いまわす基本寸法の基礎パネルは残しますがほとんどリサイクル率というのはなく、廃材として処理されます。カーペットもゴミになります。だからこれらを見るのが嫌で撤去にはあまり行きたくないのです。


ゴミが大量にでてしまう理由はいろんな日本の事情がからみあっています。まず造作物を使い回す為に倉庫に保管する方が高い。だから壊して廃材にします。保管費が高いという理由の他に、クライアントと業者との契約方法が”年間契約”というのが少ないからという理由もあります。年間契約して良いものを造ってそれを何年も使う、というやり方は欧米では普通ですがアジアでは見かけません。ビジネススタイルの違いもありますし、日本人は新しい物好き、という見方もありますがもっと現実的な問題としてそれができていない理由は「会場運営のやり方」があげられます。
Messe先進国ドイツでは市や主催者が会場も運営しているため、小間割りに自由がきき毎回同じスペースでの出展も可能です。従ってデザインも材料も同じ物を使って、翌年、翌々年も使いまわすことが可能なのです。部材もシステムでブレイクダウンできるものが数百種類あります。カーペットも通路幅が決まっているのでクリーニングしてごっついカーペットを使いまわします。設営・撤去の日数も1週間程あったりするので会場で犬が走り回り、ラジカセで大きな音が鳴り響きリラックスして作業できます。日本のように突貫工事しなければならない理由は会場レンタル費が高い事が原因なのです。
展示会場を運営する企業・団体はスペースをレンタルして利益をあげるため、主催者に対してできるだけスケジュールを詰めてセールスした方がよいのです。それから展示会の受付に行くときもうるさくてきらいです。アルバイトのおにいさんがメガホンで大きな声を張り上げて誘導しています。これは欧米ではまったく考えられないことで、まだ大きな声で来場者を誘導している見本市&その主催者はレベルが低いと考えていいと思います。
出展企業に対しプロポーザルを出す立場の我々は実際にどんな条件を提示しているでしょうか。ブースのデザインをする場合オリジナリティを要求されるため、昔よりはシステム材が増えましたがそれでも多くの廃材を出すであろうデザインを提出せざるを得ません。造る側を出展する企業側とそれから主催者側が一緒になって「廃材問題」を考えていかないと解決しない問題であろうと思います。
以前リサイクル関係の展示会が幕張メッセで行われ、そのときにたくさんの廃材がでたことで主催者が非難を受けたというのを聞いた記憶があります。しかしリサイクル関係の展示会1つで100%リサイクル素材を使ったとしても他99%の見本市が無意識ではまったく意味のないことです。もうこうなったらすぐにできる事として「会場側に使いまわせるものを用意しておく」事から実現して欲しいものです。会場のスペースにはセットで、受付台、カーペットピクトサインなどどの見本市でも使われるものが用意されていて「それを利用すること」という条件をつけてしまう。こういう条件をつけると自由がきく他の会場で開催されてしまう、というのなら横並びで一斉に始めればいいのではないでしょうか? 
今幕張で東京モーターショーが行われています。7日の撤去日に行って見て下さい。日本メーカーと欧米メーカーの撤去作業は180度違うことが明確にわかります。欧米メーカーは廃材が出ず、ボルトをはずして部材を梱包していきます。日本の企業は埃を巻き上げながら大工がつぎつぎと廃材を出していきます。これだと”エコカー”っていうのもなんか説得力欠けるんだよなぁ。