有限会社パンズ

黒ヒョウ社長のブログ

言行一致

2011-02-12 13:21

微力ながらスポンサーをさせて頂いている映画「180SOUTH」の渋谷シネクイント単館上映も延長されて、これからは各地方での上映も始まるみたいで本当にうれしい限りです。

イヴォンが創業したパタゴニアという会社を理解するには結構敷居が高くて、世間一般には ”環境にやさしいことを行っている会社” 程度にしかとらわれていません。 しかしその企業哲学は多くの企業が見習うべき内容で、”企業の責任とはなんだろうか?” ということを真剣に考えるきっかけを与えてくれる会社です。この映画にもメッセージが込められています。映画を見る前に少し知識があるともっと解ると思いますので、イヴォンとパタゴニアについて少し。

世界で初めてシャツなどすべてのコットン製品をオーガニックコットンに代えた会社だし、衣料品メーカーとして初めてペットボトルからフリースを作った会社です。 環境にやさしい、という生ぬるいことじゃなくて本気で地球環境保全の事に取り組む世界でも数少ない企業なのです。

売上高の1%を地球環境保全の為に寄付する”1% for the Planet”=地球のための1%”を2001年に設立したのもこのイヴォン・シュイナード。1938年(昭和13年)の9月生まれ、だから今年73歳、まだ現役。
 

とにかく言っていることとやっていることがぶれない。 

決めたことをみずから実践する。

家族経営には規則よりも信頼が大切だからといって、社員を信頼して自分はオフィスから出て行く、波がいい日はサーフィンをやってもいいと言う。
 

さて、ここで 「社員がサーフィンばかりやっていたらそれで会社は成り立つのか?」という疑問が浮かぶと思いますが、成り立つのです。 これは「社員をサーフィンに行かせよう」というイヴォンの本の訳者あとがきにも書いてありますが、以下のような理由で成り立ちます。

●”社員をサーフィンに行かせよう”を実践するには自己管理も不可欠。 もちろんいつでもサーフィンに行っていいが、仕事はきちんとこなさなくてはいけない。 実は、パタゴニアの社員に対する業績評価は厳しい。年功序列や定期昇給などの制度はなくて、あくまでも個人の達成度合いによって賃金や昇格が決まる。業績次第では賃下げや降格もある。

●サーフィンだけではなくどのアウトドアスポーツでもそれを愛し、顧客よりも深い知識と経験を持つことが、よりよい製品を企画・製造・販売するために不可欠である。

●1つのスポーツを一生懸命やっていると、同じスポーツをやっていなくても社員同士が理解し合える風土が育まれる。 同僚が登山やサーフィンで休みを取るときには「残りの仕事は自分がやるから楽しんでこい」と言い合える雰囲気がある。 同僚、販売先、取引先などに気配りするIntegrityを大切にしている。
 

Integrity(インテグリティ)を辞書で引くと誠実、正直、品位、完全性、とあります。 すべての人に誠実に接するということを意味しているそうです。

実は私が2006年からLOHASという言葉を使うことを嫌ったのはこのイヴォンの影響もあります。彼は、「パタゴニアはLOHASとは関係ない」 「パタゴニアは非常に真剣に環境に取り組んでいる」 「多くの人たちがLOHASの流れに乗ろうとしているのかもしれないが、その一部や必ずしも真剣ではないと思う」 「LOHASは単なるマーケティング用語」 という様に言い切っていました。

ビジネスは地球資源に対して責任がある、という言葉は非常にショッキングでした。 株主でも社員でも顧客の為でもないという結論は目からウロコ。

死んだ地球からはビジネスは生まれない、という言葉をいつも心に留めて仕事に取り組んでいます。
 

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